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たこの木クラブ 連続講座報告 第4回テーマ「出禁」

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今回はこれまでの講師を招いてお話を聞いてからグループディスカッションをするという形式から変わって、講師なしで初めからグループに分かれてたっぷりと話をするという新しい試みになった。
各グループのさらに絞り込んだお題は「居宅居住について」「街なかのお店」「作業所やグループホーム等の事業所契約」「コミュニテー、居場所」。

私は「街なかのお店」に参加した。出された事例は、商品のメロンパンを叩き潰す女性の話やスーパー等で暴れてしまうケース。無理やり止めようとすると、かえってこだわってエスカレートしてしまう。お店からは謝ればよいというわけではないと言われたこともある。スーパーのケースでは何度目かの時にお店を出たところで警察官が待っていて連行され、その後お店の方も合流して「出禁」を通告された。

どちらも対応策として、支援者側がなんとなく外出の機会を狭めていった。それは支援者側というより親のニーズもあったようだ。スーパーがあった共同ビルに公民館も入っていたのでその場所には行くが、スーパーには入らない。当事者にも混乱は起きる。出禁になるまでにはプロセスがあるが、本人に対するアプローチは個別性が高くなり、支援者間で共有化されていなかったりもする。事業所が複数入るとさらに難しい部分も出てきて、たとえば利用者宅にノートを置いていて書くようにしているが、6割くらいしか書かないなど、共有が図れないもどかしさがある。
また支援者側の課題として、自分の失敗談を話すのはどうしても責められてしまうと感じてしまい、出し合うのが難しいという側面もある。情報共有の場で自分の時はうまくいくと言われても答えようがない。

当事者との関係性の中で起こるケースについては、他者が入ったりいったん支援から離れるという形でリセットすることも必要だが、なかなか自分から言い出せず、表面化した時には事態が大事になっていたり、その当事者支援は自分にはできないと追い込まれていたりする。
トラブルがあると当事者は出禁になる。

支援者がつらいと思うときは一度支援から離れるのも必要な選択肢だと思う。けれどその先にどうやってお店や支援者との関係を再構築するかという視点が必要だと思う。
当事者にとっても支援者や街なかのお店にとっても「悪い記憶」だけが残り、それが風化していくのを待つだけではなく、成功体験を積み重ねて「よい記憶」を上書きするプロセスが重要なのだと思う。そのためには日常のコミュニケーションがやはり重要になってくる。以前聞いたケースでは当事者を居酒屋に連れて行
くときに、その支援者がそのお店の常連であることが安心感につながり敷居が低くなっているということがあったそうだ。
お店にはお店の事情があることもあり、お互いの存在をいかに伝え合い、知っていくかということも大事なのだろう。
岩橋さんが語った「事を排除することと人を排除することを分け、事を排除しても人は排除しない」という信念を持つことの意味が問われるのだと思う。依存先の多様さは重要だと新ためて思った。

具体的な解決策がすぐに見つかるわけではないが、オープンダイアログのように、チームで対応する初動を早くすることが重要ではないかとも思う。
始まる前に実行委員会の中では、話が早く終わったグループは別のグループに参加してみるのもありだということも検討していたが、結果的には各グループ時間いっぱいまで熱い語り合いが続けられていたようだ。

講座終了後の懇親会は少数精鋭という感じではあったが、さらなる盛り上がりもあった。「出禁」というテーマはそのセンシティブな部分でなかなか語られる場面は少ないかもしれないが、だからこそ日常の中で意識していかなければと改めて思う。 (櫻原)

お問い合せはこちらから TEL 03-3793-3012 受付時間 9:00~18:00(土・日・祝日除く)

 

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